• 2014/4/15

【第3回】揺らがずとらわれず、あるがままに受け入れる

辻秀一氏、中土井僚氏をお迎えして、弊社代表取締役 羽物との対談を3回にわたってお伝えします。 最高のパフォーマンスを発揮するには? 家族や仲間と課題を乗り越えていくには?

第3回 思考が場を作る
中土井
中土井さん

個人が悟りを得るとか、何か気づくだけでは、社会的な問題を解決するってことには、やっぱりパワーが弱いんですよね。

でも、集団で気づく、つまり、集団でUをくぐっているという状態になったときに、みんながステークホルダーになっている問題を扱えることが可能なんだというところを示しているのが、U理論は新しいなと思っていて。

辻
辻さん

たしかに、(『U理論入門』に登場する)コスメビューティ社(の例)って、みんなでUをくぐった瞬間だもんね。

僕も、個人の経営者とか、スポーツ選手のメンタルトレーニングもするんですけど、一人でやると効果が出にくいんですよ。

羽物
羽物

そうですか。面白いですね。

辻

集団トレーニングの方が、気づきのレベルが格段に高いんです。

中土井

スポーツ選手の人たちが、たとえばプロ野球の選手が『ファンの人たちのおかげです』という表現をヒーローインタビューで言うじゃないですか。小さい頃はそれを聞いて、単なるリップサービスだと思っていたんですね。

ホームとアウェイという話があるじゃないですか、それも「気分の問題でしょ」って思っていたんですけれど、でも、このことを学び始めてから、違うんだなと思いました。

辻

ファンになって本当に応援しているときは、期待思考ではなく、他者のからの見返りを期待していない脳である、という思考の研究があります。期待するぞって思っているときとは違って、とりあえず無条件に応援するぞって考えるときの脳の中は、α波の出方が違うんです。

中土井

そうなんですか!

辻

で、思考はエネルギーだから、頑張れって応援していると、自分自身にもα波が出るので、自分がまず元気になるんですよ。

中土井
辻

だから、応援はまず自分のためなんですよ。

そのことをタイガーウッズが言っていて、「自分がいい成績のとき、絶好調のときの思考の基礎は、すべての選手に対して応援しているときで、そのときは最高のパフォーマンスが出続ける」と。

そうじゃない選手は「はずせー!」とかやっているわけですよ。そうすると、外側に思考が持っていかれる。

僕は、大事なのは何を置いても、思考だと思っているんですけれども、思考が自分の中にエネルギーを生み出す脳波を作り出すと同時に、いい思考を持っていると、以心伝心でそこに「いい場」を作るんです。

もし黙っていても、ここにいる5人の中の一人がたとえば「死ね」って思っていると、いい空気はこの場に絶対出ないんです。実際に殺さなくても。思考が場を作るんです。思考は光でエネルギーだから。

だから、どんな思考を持っているかということが、自分の人生と周りの人生と空間にものすごい影響を与えています。

羽物

すごくいいことを聞きました。

2 : 6 : 2の法則
羽物

たとえば会社の未来を作ろうといった会議をするときに、ネガティブな意見を持つ人が入るとどうしても引っ張られちゃうように感じます。

辻

そうですね。

羽物

ネガティブな意見を持った人がいる場でどう振る舞うべきかっていうのって悩ましいんですが。

辻

いわゆる2:6:2の法則です。フローになろうとする人は大体2割くらいで、6割はどっちでもよし、残りの2割は対抗する人たちと思っているんですね。

多くの人は、この対抗する2割の人が問題だって言います。それこそがとらわれているんですよ。

あるがままに受け入れるべき。2:6:2なんです。世の中、男と女がいるんです。おじさんと若い人がいるんです。

対抗する2割を切り捨てたくなるんですけど、切り捨てたところで、また残りで2:6:2になるから、そうすることは、組織を縮小させます。

羽物

そうですよね。

代表 羽物
辻

企業やチームの代表から相談されるときは「アゲンストな2割を何とかしてくださいよ」という依頼が多いんです。でも、「フロー感性の高い2割を探すことで、その人たちが、真ん中の6割を引っ張っていけるように強化することのほうが組織づくりは早いです」と答えます。

そして、実はこの2割は、上の位の人にいるとはかぎらない。

中土井

そうですか。

辻

まさに体験によって作られてくるものだから、それは新入社員にもいるし、役員にもいるんですよ。

羽物

なるほど、なるほど。

辻

本当はどの組織も、役員以上がこういう感性を持ってほしいとみんな思いがちになるけれど、難しい。

羽物

なるほど!そうはならないんですよね。

辻

ならない。

チームづくりを数年やっていくと、だんだん、フローのチームができてくる。それでも、2:6:2ですけどね。

大事なのは、この感性と体感のある2割ですよ。どうやって組織づくりするかは、時と場合によりますよね。最後の2割を排除しながらやれるときと、下に引っ張られずに全員で何かをやるときと、適宜。

中土井

面白いですね。

辻

たった5人だとしても1:3:1に分かれていると言える。

でも、5人そろうと空間のレベルは一気に上がりますよね。急激に。

愚痴を言わないし、この瞬間を楽しむってことだけでいくからパフォーマンスも益々上がるし。

辻氏
あるがままに受け止めてみる
羽物

人の話がすっと入る人と、すっと入った振りをしている人と、入らない人と出てきますよね。

辻

それってやっぱり、認知で聞く人と、体感で聞く人との違いだと思うんですね。

話を聞いたとき、「いや、でもね、、、、」ってみんな言うじゃないですか(笑)

羽物

ありのままを受け止めるのは難しいんでしょうかね、やっぱり。

中土井

おそらく、「ありのままを見る」ことが難しいのは、人間のメカニズムがそうだということとともに、自分の人生に責任を取るということを意味しているからだと思うんですね。

誰かのせいにしているほうが、見なくて済むから。私の人生がこんな程度なのは私が責任者なんだ、っていう風には思いたくないんだと思うんですよね。

「自分は羽物さんのように経営者になれないのは、辻さんのようにスポーツドクターとして活躍できないのは、何かのせいだ」っていう風にしておきたい。

そんな風に偉そうに言ってはいるものの、私自身もずっとそうだったんですけどね。

そんな他人のせいにしたいちっぽけな自分と何度も向き合っていく中で思い至ったのは、その誰かのせいにしたい思いは、「自分の一度きりしかない人生が他の人よりも劣っていると直視したくない」という、人の痛みなり弱さなんだろうなということでした。今は、そのことを許せるかどうかが、始まりなんだろうなあという感じがします。

辻

分かる。でも、そうさせるような社会の仕組みがあって、ある意味、最初に会う親もそうだし、教育もそうだし、人間の社会もそういうことでできちゃっているからだよね。

辻氏、中土井 氏、羽物
辻

意味なんていうのも、全部、自分で「意味」をつけちゃっているだけなんだけど、あるがままを受け入れるのは怖いと感じている。

僕に何ができるというよりは、このすばらしい人間を知りたいし、みんなに分かってほしいし、みんなに信じてほしい。今、人間の世界でいろんな問題が起こっていることもたしかで、日本人が劣化したり、脆弱になってきたりしていることも一方で憂いています。しかし、僕はそのなかで、いろんな解決方法があるんだと思うんです。人間が作りだしたもので人間が、救われると言っちゃなんですけれど、気づいて、新たなステージに行けると僕は思っていて、それが僕はスポーツだと思っているんです。

中土井

スポーツとか芸術とかって、人間が持っている、人間が本当は何なのかっていうのが体現されている世界だなと思っていて、それが、すべての人にあるんだっていうのが、辻先生のおっしゃった「文化にしたい!」ということなのかなと思いました。

残念ながら時間がきてしまいました。また、ぜひ座談会など機会を持てればいいと思います。

出席者の方々とも、やりとりしながら。

ありがとうございました!

面白かったです。

辻

いやあ、超楽しかったです。

羽物

時間を忘れて。

辻

久しぶりに、ほんと楽しかったですねー。

本対談は、2014年4月に旧BizLoungeに掲載されたものの再掲です。

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羽物 俊樹

羽物 俊樹

投稿者プロフィール

スカイライト コンサルティング株式会社 代表取締役
2000年、同志数名と共に、徹底したクライアント志向のビジネスコンサルティングを実現すべく、スカイライト コンサルティングを設立。代表取締役に就任。一部上場の大企業からベンチャー企業まで、数多くのクライアントを持つ。現在では100名以上のコンサルタントが在籍し、事業領域を拡大している。同社でプロフェッショナル人材の育成に尽力し、訳書には『選ばれるプロフェッショナル』がある。週末には、地元小学生のサッカーチームの監督としても活躍。
また、2月には自身2度目の東京マラソンを完走。年に数回、フルマラソンやトライアスロンに参加している。

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