• 2015/12/8

【第1回】東南アジアのビジネス界の歩き方。飛び込んだ先でいかにネットワークを構築していったか

ベトナム農業視察ツアー

「海外で働く!」と意気込んでも、何のつながりもない海外に飛び込んでいくのは簡単なことではありません。3年前、スカイライトコンサルティングを退職し、ベトナム・ダナンにカフェを作るべく現地に乗り込んだ須貝さん。現在は、モバイルバッテリーのcheeroブランドを展開するTRA株式会社の東南アジア担当としてタイのバンコクを拠点に活躍していますが、そこまでにはサバイバルともいえる道のりがありました。そこでどうやって人とつながり、ネットワークを築いていったのか。東南アジアの現状とともに語っていただきました。

聞き手は、自身もスカイライトで中国や欧州での多くの海外案件を遂行している松山が担当します。

第1回は、ベトナムでの生活と日系コミュニティーに関しての話
何のつながりもないベトナムで、どうやって生き残っていったのか
松山
松山

須貝さんはベトナムの方に最初カフェを作られたって話だったじゃないですか。ただ、それがうまくいきませんでしたと。これ自分だったら、その時点で日本帰ると思うんだよね。ただ、須貝さんは考えた上で、ごはん食べなきゃいけないからって、ホーチミンに。

大都市だからていうのはわかるんだけど、これって見ず知らずの土地だよね?

須貝
須貝さん

ま、そうですね。ただ、ダナン行き来している間にホーチミンでも知り合いを作ってました。知人の紹介で出会ったベトナム人の方と、一緒に商売やろうってことで、話がとんとんって始まったんです。ホーチミンに移動すれば、飯は食えるかなってのは最初にありました。

松山

そのベトナム人には現地で知り合ったんですか?

須貝

そうです。いまでこそ日本人もかなり人数いて、たぶん、ベトナム全体で2万人くらいいるかな(領事館に届け出をしていない人数も含む)と思うですけど、そのころはまだまだ日本人が少なくて。だから、日本人っていうだけで目立って、いろいろ紹介してもらえるんですよ。自分が頼まなくても。

松山

へー、そうなんだ。

須貝

それで、結構繋がりやすいってのがありました。その人の場合は、日本とのビジネスをやってたんです。具体的には実習生派遣と言って、日系企業、日本の農家さんとか、工場とか深刻な人不足なので、そういった企業や団体に、若いベトナム人達を期間限定で派遣するといった内容で、今現在、日本―ベトナム間でホットなビジネスなんです。

その人は、工場・会社設立の支援とその後の人材紹介なども一気通貫でやってたんですけど、やっぱり日本人側からすると、フェイスする人がベトナム人というと、ちょっと信頼がおけないというかそういうところがあったみたいで。フェイスするところはぼくが担当して、実務とかはベトナム語になるので、その人に渡すという。その人は日本語も喋れたので、そんな感じで役割分担していたんです。

松山

それでホーチミンで、結構手広くやってたんだよね。日系企業のお手伝いだとか、人材採用、市場調査とか。

須貝

農業視察ツアーとかもやりましたね。ベトナムって標高が高い場所が多くて、そこで結構良い野菜を作ったり、コーヒー豆作ったりしてるんですね。そこに日本の農家さんがいて、JICAと協力してもっとベトナムの農業を良くしようという取り組みをしてる。JICAとかになると、彼ら自分たちでコーディネートして、ツアーをやったりするんですけど、個人でやられている日本人の農家の人って、農業のことはすごい詳しいんだけど、そこでアテンドしたり情報提供したりっていうのは苦手な人が多いんですよ。なので、その段取りを組むのをぼくが全部やりますっていうのが、ツアーの成り立ちです。

日本から視察したいっていう農家の人は結構いるんですね。ベトナムで作って日本向けに販売するとか、ベトナムで作ったものを日本クオリティでベトナムの人に届けるみたいなことを考えている人が結構いるんですよ。そういう視察はひっきりなしにくるんですけど、農家の人にとっては負担なんですよね。実際、そこお金取れると思っていて、農家さんが汗水垂らして培ったノウハウを、そんなタダで渡すっていうっていうのももったいないなと。でも、日本の視察する人ってそういう感覚薄いんですよ、タダで情報をもらえるとか、タダで時間取ってもらうとか、そういう感覚が強いんですね。なので、そこはしっかり仕分けて商売としてやりましょう。その代わり真剣に情報集めてお客さんにわかりやすいように情報提供しましょうってことで、知り合いの農家さんに提案をしてそういう視察ツアーを。でもやったのは2回だけです。

松山

あー、なるほどね。

須貝

それを定期的にやってたってわけではないですね。

松山

自分こういうことをやりましたよってことをどこかに情報発信したりはしてたんですか?

須貝

してないですね。

松山

ほんとに人のつながりのネットワークの中だけで、じゃあ今回はこれ須貝さんに頼んだらどうにかなるかなみたいなのがポンポンくると。

須貝

そうですね。なによりぼく暇してたんで(笑)自由に使いやすいというか、あいつになんか振っとけば勝手にやってくれるだろうみたいな感じで。

松山

なるほどね。ベトナムにいる日本人の人の中にもある程度ネットワークは持っているし、かたや、ベトナム人の方も、そのパートナー経由ではあると思うんだけど、いろんなネットワークがある。トピックはどうあれ、とりあえずそれをつなぐのが須貝さんの仕事だみたいな感じでですかね?

須貝

そんな感じですね。特にぼくは「これができます」ってのはなかったので。一歩ずつ小さな仕事をもらったりして、それがよければまたもらうっていう感じで。

ひとつ面白かったのは、ベトナム企業で金型作っている会社があって、日本にどんどん売っていきたいと言うんですね。それで、会社のPRとか部品のPRみたいなのを日本語でナレーションして欲しいって言われて。

松山

資料じゃないの?ナレーション?

須貝

資料も作りましたし、ビデオも作って、その時のナレーションもやって。もはや(何の仕事をしているのか)謎でしたね。いろいろな商品の紹介とかをぼくが説明してて、その時ばかりはほんとに「俺何してるんだろ?」と思ったんですよ(笑)すごい楽しかったんですけど。そんな感じでホーチミンにいたのは半年くらいですかね。

松山

いろんな話が来るんだったら仕事としては回っていきそうな気はするんだけど、実際は厳しかったって話なのかな?

須貝

いや、ベトナムでは飯食うのは困らなかったんですけど、もういちどちょっと振り返って。やっぱり海外どんどん飛び回ったりとか、制限なく動いていきたかったんです。ベトナムだけに限られたくないなっていう感じで、東南アジアかどうかはわからないですけど、もうちょっと幅を広げた活動区域でいろいろやりたいなと思いました。

松山

活動の幅を広げるにはホーチミンでの仕事を回していくだけだと到達しないなと思ってたんで、日系の企業に入った。

須貝

試しにじゃないですけど、大手企業ってどんなもんかなと思ったりして。現地採用なんで、いわゆる駐在員に比べたら、結構待遇は低いんですけど。でも、車用意してくれたりとか、しっかりとした企業だったんで、そこでいわゆる大企業みたいなのを味わえたのは面白かったですね。ここでは個別名称は伏せさせて頂きますが、日本だと東証一部上場の会社で、空調設備の設計・施工をメインにしている会社です。ぼくは日系企業向けの営業担当として入社しました。日系の工場とかに営業に行って。でも、ベトナムでさえこのマーケットはレッドオーシャンなんで、すごい大変だったんですけど。そこでは、日系社会にどっぷり漬かれたのが面白かったですね。工場のおじちゃん達と良くしゃべりました。

松山

そこでフェイスするのは日本人が多かったのかな?

須貝

基本、日本人です。

松山

範囲としてはベトナムの中?他の国に行ったりとかも?

須貝

会社としては東南アジア域内でいくつか支社を持ってるんですけど、ぼくは基本ベトナムだけで。ベトナム全土ですね。ぼくの担当は。

松山

そこで、日本人でベトナムで働いている人のコネクションは広まった?

須貝

広まりましたね。ぼちぼち給料もらえたんで、いろいろ動けるようになったし。広まったんですけど、将来自分のビジネスになにか関係あるかというと、そうじゃない人の方が多いですね。やっぱり、頭はってやっている人の方が、将来的に何か一緒にできる可能性が大きいので、そういう意味では、いっぱい企業の部長さんとか知り合えましたけど、正直、いまからなにか始まるかというとあんまりそういう気はしてないです。

東南アジアのどこの国でネットワーキングをするべきなのか
松山

なるほどね。このまえシンガポールに行った時にジェトロの方に聞いたのは、タイとかベトナムとかカンボジアにはその国に精通している人はすごいいるし、その国に特化したビジネスをやるのであればその国に行った方がいい、と。それに対して、シンガポールのメリットって、どんな国情報であれ、アジアのことであれば情報がここに集まってくるんだってのをすごい強調されてたんですよ。そういう意味でシンガポールってビジネスオポチュニティを取る場としてはいいと言っていて。確かに、会社的にもアジア統括会社みたいなのが多くて、こういうところで、いろいろと網を張りめぐらして情報取っておけば、いい話がある日ピョンときたりとかするのかなって。いまなんとなく感覚があるんですけど、須貝さんがベトナムにいた経験に照らして考えるとどうですか?ベトナムにいても、いろんな国の話とか聞こえてきたりします?

須貝

そうですね。聞こえますが、おそらくシンガポールにいろんな情報が集まるっていうのは現時点ではそうだと思うんですね。ただ、じゃあ、そこに会社を設立したり住まいを作るのかというと、それってコストの見合いがあると思ってます。なので、重要なのはシンガポール内の事情に詳しい人を2、3人見つけて、知り合いになっておくことで、わざわざシンガポールに住む必要もないですし、会社を作る必要もそんなにないかなと。実はいま、タイに会社を作る人結構多いんですよ。シンガポールに比べると全然コストは安いんですね。正直、東南アジアで起業家っていうと結構限られていて、有名な人同士でつながっているんですよ。なので、そこにさえ入れれば、出張ベースでどこにでも行けるので、オペレーションコストのことを考えるのであれば、シンガポール以外でも全然ありなのかなと思います。あとはまあ、当然、事業の内容にもよると思うんですけど。

松山

そのコミュニティーって、もう作られたものがなにかあるってことなのかな?

須貝

例えば、和僑会。華僑の日本人バージョンで和僑って言葉を作っていて、飲食業から進出支援事業など多種多様な企業が登録されています。定期的にマッチングイベントが開催されていて、ネットワーキングが図られているみたいですね。私はバンコクで開催された際に、一度だけ参加しましたが、現地のコンシューマーを対象としたビジネスをしている方たちとお会いすることが少なかったので、ネットワークが広がったかというとそうでもなかったです。

松山

なるほどね。

須貝

私個人的には、一部のコミュニティーに偏ることなく、多様な集まりに顔出すように意識しているつもりです。

松山

基本は須貝さんは独立遊軍みたいな感じ?自分たちで同盟みたいな感じで組んで、とはいえ、幅広い業種・年齢層ともいろいろと付き合いつつ、いまはネットワークの幅を広げってっているって感じなのかな。

須貝

そうですね。タイだけでなく東南アジア全体をみてるので。自分でいつか独立した時にそういうコネクションっていうかつながりは絶対生きるかなと。いまだけでなく中長期的にみて、いろいろお会いしている感じですね。日本人だけじゃなくて、現地の人とかも。

松山

cheeroに入る前って、「須貝ってこんな人だよ」っていう感じでネットワークを広げていくのに対して、cheeroに入社してからはプロダクトを売っているから「cheeroを売っている須貝」としてネットワークを広げていくことになるんだと思うんですよね。そうした場合に、前者と後者だとかなりネットワークの広がりだったり、広がっているタイプみたいなのが違ってきたりとかしました?

須貝

そうですね。やりやすさでいうと後者、cheeroの方がやりやすいです。話す内容が、ネタがあるんで、まずとっつきやすいんですね。ベトナムで独立してやってた頃って、「須貝です、よろしくお願いします」「誰だよ?」ってなる。

松山

そうなるよなー

須貝

ほんとにもう、すごい大変でした。そういう集まりとか出て、個人の名刺でメアドがGmailだと、日本人のエスタブリッシュな人たちっていうのは、もうなんか距離を置かれるんですよね、心理的な。彼らも限られた時間の中でネットワーキングしているので、そうすると、完全に最下位ですよね。個人の時は、すごい難しさがありました。紹介していただいたり、ハブになってくれた人が信頼できる人、顔が広い人だったからぼくもいろいろ知り合えたっていうのはありましたね。だから、そういった紹介してくれる方には、ぼくができることはなんでもしますという感じで。彼らは善意だけで紹介してくれるんですけど、やっぱり心意気としてはぼくも何かしらやらなきゃと思っていたので、自分の時間を割いて、その人たちのお手伝いをしなきゃというのは意識していたんですね。いまだとやることも決まっているので、それに沿っていろんな方紹介してもらえる。仕事の話だけじゃなくて、いままでやってきたこととか今後やりたいことみたいな個人的な話をすると彼らもノッテきてくれたりして、また違う人を紹介してくれる。いまのビジネス以外でも幅を広げたいなと思ってるので。

松山

そういう意味では、cheeroに属した自分っていうのが、自分のネットワークを広がることの制約になっちゃうことってありうるのかな?

須貝

ほぼほぼ、ないですね。

松山

それは大丈夫か。

須貝

特に日本人なんかは「君将来独立するでしょ」とか「何かやるんでしょ」というのは話してて分かるみたいで、「そのとき、もし一緒にやることあったらやろうね」とか。こっちに駐在に来てても独立する人とか結構多いんですよ、日本人って。

松山

なるほど。じゃあ、そこはcheeroの須貝さんって感じじゃなくて、cheeroもやってる須貝さんみたいなイメージになってるってことね。

須貝

そうですね。

次回は、海外で働く意義とタイのビジネス界についての話です。お楽しみに

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須貝 宏幸

須貝 宏幸

投稿者プロフィール

大学卒業後、スカイライトコンサルティングに就職。
会社に所属しながら、縁あって、ベトナム中部の都市ダナンでカフェを運営することになったことが契機となり、ベトナムに移住。一年半ほど個人事業などをしながら、ベトナムにてサバイバル。
現在は、モバイルバッテリーのcheeroブランドを展開するTRA株式会社に所属し、タイ・バンコクを拠点にして、東南アジア地域での、商品の販売展開に従事。

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