• 2016/1/26

【第1回】持続可能なエネルギーで、今よりフラットでもっと平和な社会を作り出す

サステナジーは、東北を中心に持続可能な地域エネルギー事業を展開している会社。その事業によって実現したいこととして、次の4つを挙げられています。

  1. 新しいゲームのルール創出
  2. 現在の国の負債が限界に達したときのセーフティネットづくり
  3. 日本を世界のロールモデルに
  4. 世界のエネルギー市場960兆円を消す

これらのチャレンジングな目標に潜む想いや再生エネルギーの現状、目標実現に向けた方策について取締役の三木さんにお話を伺いました。聞き手は、スカイライトでエネルギー関連の案件に携わる斉藤が担当します。

第1回は、実現したいことの背後にある想いに関しての話
いまの資本主義のルールは歪みがある
斉藤
斉藤

以前、三木さんの講演を聞かせていただいたときに、この4つの「実現したいこと」に触れて、すごく面白いなって感じたんですよね。まずは、この4つに込めた想いみたいなものを説明していただきたいなと。

まず、1つ目の「新しいゲームのルール創出」って具体的にはどういうことを指しているんですか?

三木
三木さん

そうですね。いまの資本主義というゲームとそのルールには、歪みがあると思うんですよ。経済が無限に成長し続けるっていう前提条件が間違っているので。

成長するためには消費しないといけない。でもそれを続けると、破壊を早くしろってことになっていくんですね。ここ50年くらいのトレンドに乗っかって、グローバル経済だとか、金融資本主義だとかを続けていくと、ぼくらは子供たちに誇れる未来を残せるんだろうか、という疑問がでてくる。何が本当に正しいんだって考えたとき、地球は有限であって、人間は自然の摂理から離れては生きられない、その原点に立ち返ろうとなったんです。

斉藤

例えて言えば、われわれってチキンレースをしてるんですよね。誰かがドロップアウトする、そのちょっと手前で抜けるのが勝ち、みたいな。無限に成長するって言わないと誰もチキンレースに乗ってこない。歪みって本質的にはチキンレースなんじゃないかと。

三木

自然から得られるものの総和って決まっているので、裕福になろうと思ったら、偏らせないといけないんですね。それを助長しているのがお金なんだろな、と。

斉藤

2つ目に出てくる「国の負債が限界に達する」っていうのもチキンレースの分かりやすい例ですよね。国債がデフォルトする前に何か上手いことやろうっていうこと考えている人はいる。それに対して、三木さんはルールを変える、セーフティネットを作ると言われている。どんな感じのものが揃うと、チキンレースにはまらず、抜けられるとお考えなんですか?

三木

いや、チキンレースは止められないと思っていて、そのままやって破綻するものは破綻する。でも、それが限定的であれば良いと思うんですね。例えば、金融業界でやっているチキンレースは、金融業界の中だけで破綻してくれればいい。でも、それが実生活に影響を及ぼす、つまり、お金の価値が下がっちゃって、パンが1個1万円になったら大変じゃないですか。お金で取引しているからそうなるのであって、物々交換とか現物交換で流通していれば、ある程度、緩和されるんじゃないかと。いま銀行の金庫に眠っているお金が、実物の発電設備とかに置き換わっていたら、エネルギーは作れるのでお金の価値が下がっても何とかなるんじゃないか、と。

斉藤

なるほど。

三木

国債の償還ができなくなると、生活に影響があると言っている人とないと言っている人がいる。ないと言っている人は、国債を買っているのは国内の人なので、タンス預金がゼロになるだけで問題ないって言うのですね。ただ、国の信用がガタ落ちになると円安になって、輸入に頼っているエネルギーとかは結構厳しい状況になるんじゃないかなと。

斉藤

買う力が無くなっちゃうんですよね。

三木

うん、国産エネルギーを増やすとかっていうのは、そういうことに備えるってことですね。

斉藤

お金で取引してるって話だと、日本はこれだけ社会制度が発達してるけど、お金がないと何も手に入らず、餓死してしまう人がいる。これってすごく矛盾をはらんでますよね。

三木

そうですね。関係性がお金のやり取りにあるので、お金というものの関係が弱くなっちゃうと、関係を続けられなくなっちゃう。生活に必要なものもお金で調達しているから、なくなると苦しくなる。都市に吸いだされた人は特にそうですね。田舎にいると割りとそうでもないんですね。農作業している人が「大根持ってく?」みたいなことはよくある。

斉藤

でもそれって、流通システムとしての貨幣をなくせって話でもなくて、どこでバランスするのが良いのって話ですよね。三木さんとしては、少なくともエネルギーは貨幣関係から切り離したほうが上手くいくんじゃないかと思っている、と。

三木

そうですね、思ってますね。国の安全保障が高まる。

戦争って希少価値のあるものの取り合いに起因しているところが大きいんですね。領土が欲しくて戦争するっていうより、そこに希少価値のある資源とか労働力とか豊穣な畑だとかあるから戦争する。その最たるものがエネルギーです。地理的な条件として経済学的に有利になるから取りに行きたい、となる。

斉藤

そういう意味では、貨幣価値以外の価値観をもって、新しいルールをつくりやすいところ、それがエネルギーっていうことですね。

資本主義のルールを変えるには?
斉藤

いままでのエネルギーの提供や消費のあり方をどう変えると、資本主義のルールが変わっていくとイメージされてますか?

三木

石油にしろ天然ガスにしろ、枯渇性であり、特定の場所に偏在するんですよね。そういうエネルギーを使っているから、富も偏在しやすいし、争奪戦も起こりやすい。だから、フラットに広がったエネルギーを使えば、金融資本主義に拍車がかかっていたところも少しはゆるやかにできるかなと思っているんです。

斉藤

取引の材料にもならない。偏在せず、枯渇せず、無くならない。経済学的にいうと稀少財でなくすること。

三木

最終的にそこに向かっていくんですね。いま第一弾としては、われわれはビジネスとしてやっているんだけど、いずれ、4番目に書いてあるとおり、市場をなくす。消そうとしてるんです。

斉藤

そうか。それで4番目が出てくる。

三木

ゴールはエネルギーっていうものに経済的な価値がなくなること。誰もが自由に使えるものになったら、そのエネルギーを使って、次の新しいものを上に積めばいいと思うんですね。食糧だったり、水だったり。だんだんそういうものが満たされていくと、最後は教育とかエンタメ系のコンテンツになっていく。生活の不安がなくなるって状態を作れれば良いと。

斉藤

でも、生活の不安をなくせる要素ってたくさんありますよね?

三木

エネルギーは、たぶん、一番の基盤なんです。文明的な、文化的な暮らしをするための一番の基本なんです。エネルギーがあれば食糧が作れますし、水も作れます。エネルギーがゼロ円になるインパクトって、その上にあるすべての産業が影響を受けるんですね。だから、エネルギーからスタートしているんです。

斉藤

なるほど、そういう意識は、ぼくら日本人は弱いかもですね。水もエネルギーと同じように基本的なエレメントですよね。

三木

そうですね。普通に暮らしていると、蛇口ひねれば水が出てきますし、スイッチつけると電気がつくので意識しないんですよね。水も、商業水力発電をやろうとすると、昔からの権利とかが残っていて、とても複雑で難しい。水が昔はいかに貴重なものだったかっていうのがよく分かる。

斉藤

そうか、水がなくなって滅びていく文明の例はたくさんありますよね。

国家としてそういう意識はあって、日本もそうですけど、ある程度独占を許し、国の管理下に置いてコントロールしようとしてきた。

三木

開発したって感じですかね、積極的に。

エネルギー政策の前提条件
斉藤

そういう国がやっている安全保障としての電力制度にはネガティブなんですか?

三木

いや全然ネガティブではなくて、大事なことだと思うんですよ。まあ、取り組み方や方向性はいろいろな考え方があって、価値観の違いっていうのはありますよね。

ぼくは、第二次産業である工業って、産業革命以降、世界各地で人件費、エネルギーコスト、土地代とかが最も安いところを転々としていく産業だと思っているんですよ。だから、最初にイギリスで起こって、アメリカに行って、日本、東南アジアと中国に行って、最後にアフリカ。そこで行き着くところまで行って、飽和してしまうと思うんですよ。一旦工業化が進むと、国内がインフレして、すべてのものが高くなるっていう状態ですね。そうなると、それ以上安く作ることができなくなって、行き詰まる。

だけど、工業で発展してしまうと、その幻想を見続けて、工業は国の柱だと思い続けてしまう。そのために必要なエネルギーを確保しようとする。だけど、工業化によって経済発展すると、コストが高くなってしまうので、新たに安い発展途上国とかに産業自体が出て行ってしまって、そして戻ってこないんです。一回出ちゃうと。

斉藤

出たあとに、どんなにエネルギーが開発されても意味がない。

三木

うん、結局日本で作るより安いって話になっちゃう。

斉藤

エネルギー以外の要素でね。

三木

国のエネルギー政策の柱に、いまと同じ工業発展を遂げるって前提条件を置かれちゃうと未来はまったく違ったものになりますよね。その前提を置くか置かないかで、エネルギー政策って全然違うんです。国の未来のかたちをどう考えているかによって、エネルギー政策って決まってくる訳ですが、その前提条件が違うから、原発が必要だっていう人と再生可能エネルギーで結構いけるって言う人に分かれる。

斉藤

なるほどね。安倍首相はGDPを600兆円にするって言ってる。今後も、明らかにGDPが成長していくという想定ですよね。三木さんたちはそう考えていなくて、GDPは減っていくけど、豊かな生活というか、われわれが望む生活は維持できるはずだと。

三木

GDPって別に豊かな生活を測っているわけではないですよね。経済規模、生産の成長を測っているという定義ですが、本当にそうなのかと。生産するためには消費がないといけないんですよ。ますます省エネ社会に進もうとしていて、人口も減少しているのに、どうやってGDPをそんなに増やすんだろうなって。GDPの500兆円が600兆円に増えたからって、だから何だ、って思うんです。消費が早回しになっただけじゃないかと。人数が減ってるので、一人あたりの消費量を増やすしかない。それって社会にとって良いことなのかどうか。

斉藤

三木さんや再生エネルギーに関わる人たちからすると、ベース電力のでかい火力発電とかいらなくなるというように変わっていくのではないかと。

三木

そういうのはだんだん減っていくと思うんですよ。

いまある電源でどれだけ回せるのかな、っていうのは、一度きちんとやった方が良いと思っています。ほんとうに足りないのか、それはどういう前提条件なのかっていうのは見たほうが良いんじゃないかって思うんです。

エネルギー市場を消すという壮大な目標を語る三木さん。そこから、さまざまなエネルギー源の現状についてお話になっていきました。続きは次回。

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三木 浩

三木 浩

投稿者プロフィール

青山学院大学理工学部卒。
NTT系企業・外資大手半導体メーカーにおいてシステムエンジニアとして勤務。
その後、インターネットベンチャーにてネット関連の新規ビジネス立ち上げのコンサルティングに従事。
2001年よりアクセンチュア株式会社において、シニアマネージャーとして戦略コンサルティング、ITコンサルティング、業務改革等多岐に渡るプロジェクト統括を経て、2007年8月に経営戦略の構築から事業運営までを一貫して行う、コンサルティング会社を立ち上げて独立。2008年より自然エネルギー系の事業に参画。
2009年よりサステナジー創業時取締役として参画し、事業戦略や事業モデルの策定等を行っている。

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