• 2016/2/9

【第3回】持続可能なエネルギーで、今よりフラットでもっと平和な社会を作り出す

サステナジーは、東北を中心に持続可能な地域エネルギー事業を展開している会社。その事業によって実現したいこととして、次の4つを挙げられています。

  1. 新しいゲームのルール創出
  2. 現在の国の負債が限界に達したときのセーフティネットづくり
  3. 日本を世界のロールモデルに
  4. 世界のエネルギー市場960兆円を消す

これらのチャレンジングな目標に潜む想いや再生エネルギーの現状、目標実現に向けた方策について取締役の三木さんにお話を伺いました。聞き手は、スカイライトでエネルギー関連の案件に携わる斉藤が担当します。

第3回は、サステナジーさんのビジョン実現のための戦略についての話
プロジェクトをエネルギーのかたちに合わせる
斉藤
斉藤

地産地消型のエネルギーにしようと思うと、一極集中ではなく、分散型になる。そして、その個々のプロジェクトが事業として成り立つためのビジネスモデルが必要になってくるわけですよね。サステナジーさんの場合は、人口10万人以下の町とかでもそういった地産地消のエネルギーの基地を持てるプロジェクトのやり方に注力されていると聞いたんですけど。

三木
三木さん

はい。でも、わざと小さいのを作っていると言うより、プロジェクトをエネルギーのかたちに合わせているんですよ。つまり、密度の高い、質の良いエネルギーだったら、集中型電源にした方が効率がよくて、でも太陽光とか木質バイオマスはエネルギー密度が少ないので、小規模分散にしないと合わないんです。もちろん、経済的なことを考えたら、個々のプロジェクトで数少なくやるより、同じものを横展開して、小規模分散のものをたくさん作るということにしないと合わないですけど。そういうのを工夫しながらやっています。

斉藤

エネルギーのかたちに合わせるっていうことだと、それぞれの家でやるのが理想なのか、あるいは集落とか町単位ぐらいがちょうど良いのか、そういうバランスってどうなんでしょう?

三木

そのバランスの話ってよく聞かれるんですが、それもエネルギーによって違っていて。例えば、住宅で消費されている電力量って日本全体の3割ぐらいなんです。太陽光が全部の住宅の屋根について、全部の家が電気はとりあえず自給できるようになったら、日本の電気の3割ぐらいは太陽光に置き換わったりする。それだったら一軒単位からやっても良いし、街なかにちょっとした規模のソーラーが出来れば、そこから使うっていうのもやっても良いと思う。どのサイズが最適かっていうのは、地域・消費地の密集度とか、そこに空いているスペースがあるのかないのか、などに依存するので、一個一個を最適化すれば良いんじゃないかなと思います。

斉藤

なるほど。電気もガスも小売が家庭用含めて自由化されて、いろいろなものが選択できるようになっていく。エネルギーデモクラシーなんて言い方もありますが、でも実はこの話の本質って、単に選択の問題じゃなくて、バランスの問題、つまり、いままでは国策で、持てる者が持ち、持てない者は電力会社から電気を買うという形だったものが、だんだんイーブンに近づいていくという話だと。

個人や家庭が、100%ではないけど、太陽光やバイオマスを使った電源を実は持っていて、足りない分を外から買う。そういう、お互いに資源を持っている関係というのを、これから10年、20年かけてちゃんと考えていかなければいけない、って気がしてきたんですけど。

三木

まさに、おっしゃる通りですね。偏在する資源を使っていると、富も偏在するので。

斉藤

そうか、誰でも持てるんだもんね。

三木

そう。だから、社会はよりフラットに近づく。

斉藤

エネルギーのかたちによるんだけど、住んでいる町全体で持つって形もあれば、一人一人で持つっていう形もあれば、国全体で緊急時に備えて持つっていうのも含めて、選択していく。

どういうエネルギーのあり方というか、組み合わせが理想的で、バランスが良いのかな?

三木

個人的には、エネルギーもやっぱり民主化された方が良いと思っていますね。例えば、ぼくらがいま作っているメガソーラーの発電所とかは、20年後、資本の組み換え直しをして地元の人に持ってもらうっていう手もある。市民ファンドを作って、そこに買い取ってもらって、地元の人たちがメンテしながら、そこから出てくる電力は自分たちで分け合って使うっていうのが良いと思っています。

斉藤

なるほど、自治するわけですね。

お金をエネルギーに変換する
斉藤

そこに行くまでのストーリーってどんな風に考えられてるんですか?

三木

エネルギー事業って元々初期投資がものすごい額かかるんですよね。例えば原発作ろうと思ったら、1基に3500億ぐらいかかるし、ガスタービンも火力も多分1800億円ぐらいするんですよ。小型のものでも100億とか軽く超えるので、我々みたいなベンチャー企業には絶対調達できない額なんですね。でも固定価格買取制度、FITが出てきたことによって、国が買い取り保証しているので、3億、5億、10億ぐらいのお金だと金融機関が貸してくれるんです、ぼくらみたいな会社でも。

固定価格買取制度 (Feed-in Tariff) とは、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、国が定める固定価格で一定の期間電気事業者に調達を義務づけるもの。2012年7月1日にスタート。
三木

FITってIRR6%くらいで回るように買い取り額が設定されているので、事業計画・収支計画を組んでみると、20年後に、税金と諸々の維持費を払った後に、手元に借りた額と同じだけ残っている感じなんですよ。レバレッジの仕方にも依りますけど。だから、3億とか5億とかのプロジェクトをいっぱい組んで、借入が総合計1000億ぐらいになったら、20年後には手元に1000億円あることになるはずなんです。この1000億円を元手に、もう何千億円借りてききたら、今は実証炉が2兆円している核融合反応炉も商用炉になっているはずで、値段も数千億に下がってるはずなので、それが買える。そして、核融合炉も償却し終わったら、そこから出てくるエネルギーは0円で配っちゃう。なぜなら、核融合反応に使う燃料の重水素は、太陽光と触媒と海水で作るので、エネルギーコストが限りなくタダに近い。

水素社会はダメだって言ったんですけど、重水素は良い。なぜなら、水素の酸化反応でエネルギーを取り出そうとすると、さっきみたいに出てくるエネルギーが小さすぎて多分合わないんですけど、核融合反応で出てくるエネルギーって全然桁が違うので、それで出てきたエネルギーを使うんだったら合うんじゃないかなという風に思っているんです。

いまいろいろな人たちが研究していて、30年後の実用化を目指して核融合反応炉って作っているけど、どうなるか分からない。その行く末を見ながら、宇宙エレベーターみたいなのも含めて、どの技術進歩が一番早いのかを見据えながら、そこに使えるお金を作っていくっていう感じですね。だからその1000億円で、優雅なリッチな暮らしをするっていうよりも、人類の世界平和のために全部使っちゃえと。

斉藤

今のお話ってFITが前提なんですよね。FITが無くなると、実現は難しくなる。

三木

うん。また別の新しいビジネスチャンス見つけていかないといけないですね。

ただ、いまはまだそうなんですが、FITがあるうちに信用力がつけば変わってくる。

斉藤

どういうことですか?

三木

太陽光とか木質バイオマスを使ったエネルギー事業、これの本質は、エネルギーを作るっていうのと同時に、金融調達なんですね。地元の信金さんから始まり地銀さんに広げて、だんだんいろんな人からお金の調達を増やしていく。

斉藤

地銀さんだとか信金さんっていうのは、地元の人たちのお金って意味なんですよね?

三木

そうですね、彼らの地元の。まあそういう意味では、地域資源ですよね。

斉藤

そのお金という資源を使ってエネルギーを作って、それを自分たちで利用して、他から調達する必要がなくなる状態に持っていくってことですね。お金をエネルギーに変換しているわけだ。

三木

そうですね、おっしゃる通りです。今って地域のお金使がわれてないんですよね。信用金庫の預貸率は50%を切っていて、預かってるお金の半分も貸し出せていない。預金が国債になっちゃってる。さらに最近だとその国債も日銀に買い取ってもらっているという話も聞きますけど。でも、FITっていう国の保証があれば、そのお金が貸してもらえるんです。もしかするとハイパーインフレが進行して、眠ったまま価値がなくなっちゃうようなものであれば、現物のエネルギーに置き換えてしまえと。

木質バイオマスを例にとると、発電するためには山で木を切っている人たちから燃料を買わないといけないんですが、彼ら林業従事者ってどんどん数が減って高齢化しています。切っても、採算が合わないんです。森林組合とかは補助金があるので切ってくれる人がいるのですが、個人でご先祖様から山を受け継いだ人は、切ったら切っただけ赤字なので、手入れをしなくなります。それで山が荒れて土砂災害とか起きるんです。でも、彼らに、「切って出してくれた分、全部買い取るから」って言うと出してくれる。それが言えるのもFITがあって、買い取った材で発電した電気を全量買い取ってもらえるという制度が裏にあるから。そこがセットなんですね。そういうのを上手く組み立てて、地域でがっちりしたビジネスを組んでいくのが大事かなと思ってやっています。

斉藤

いまは、銀行からお金を借りるためには、FITっていう信用を使ってる。今後、何らかの形で信用が作れれば、銀行はお金を出すかもしれない。

三木

まさにおっしゃる通りです。いまはFITなのですけど、ぼくらのビジネスがある程度回ってトラックレコードが積まれたら、そのトラックレコードに対して貸して下さるかもしれない。あるいはそこから上がってくる収益を自分たちの自己資本として出せば、それに対して貸してくれるかもしれない。そういう形でいま広げようとしています。

斉藤

そうか、だから、FITがビジネスモデルの核ではなく、あくまで信用を得るための1つのツールとして使われているってことですよね。FITがなくなる前に、新たな信用力をつける、と。

三木

そうです。でも、FITってすさまじい破壊力で、たぶん50年とか100年に1度のビジネスチャンスだと思っています。

斉藤

でも国的にもそんなに続けられないですよね、きっと。

三木

結局みなさんが電力料金を払っている時に一緒に回収されている賦課金が元手になっているので、国はあんまりそれを増やしたくない。だから太陽光がワーッと増えちゃったのも抑え込もうとしているし、かといって太陽光だけだと困るので、別の電源を増やしたいので、まだちょっと続けると。

ただですね、賦課金を集めて再エネに配っているって言うんですけど、原発も税金集めてそれを交付金としてばら撒いていますからね。結局同じですよね。

斉藤

まぁどっちに配るかだけでしょ。

三木

そう、何の名目で集めて、どこに配るか、ってだけの違いで。エネルギーって元々そんなに安いものじゃないんだ、っていうのをみんなもっと意識した方が良いかなって気もします。やっぱり集中型電源ってどれも迷惑施設なので、あんまり作りたがる人っていない。それも含めて、国のお金をばら撒いて、エネルギー政策として作ってきたっていうのがあると思うんです。

斉藤

余分なコストはかかっている可能性があるってことですよね。

三木

ありますね。

電力自由化って世の中を変えるインパクトはない?
斉藤

話戻りますけど、100%じゃないにしろ、やっぱりエネルギーの自給自足って必要なんじゃないかな。

そういう余分なコストっていうのもあるけど、送電線だって別に送る必要が無かったら要らないし。相当莫大なコストかかってますよね。

もっと言っちゃうとWiFiみたいにね、電力を持っている人と、持っていない人達が融通しあえるようなP2Pの仕組みがあれば、けっこうベース電源的なこともできるんじゃないのかな?

三木

そうなんですよ。それがいわゆるスマートシティ、スマートコミュニティですよ。

斉藤

でも、一説によると、電力自由化って通信ほど世の中を変えるインパクトがないって話もある。例えば通信だと、民営化して20年くらいで、通信料金が1/10になったみたいなインパクトがあった。電気にも起こるんだろうか。

三木

起こらないと思いますよ。

斉藤

それはサステナジーさんの活動を通じても?

三木

あ、ぼくらは20年後にタダで配っちゃおうと思っているので、そういう意味では、

斉藤

そこで革命が起こる。

三木

はい。でもそれは自由化がきっかけじゃないですね。

斉藤

似たような制度としては、タダではないけど、いまデータ通信ってみんな固定料金じゃないですか、パケ放題みたいな形で。いくら通信しようが、お金を取れない時代になっちゃっていて、そこをどんどん安くしていっちゃったら、もうビジネスって成りたたなくなっちゃいますよね。

三木

はい。単純にエネルギーを生産して売るっていうビジネスじゃなくなるんだろうな、と思っていて。エネルギーはタダで提供します、その代わりに違うサービスを提供します。それは有償です、みたいな形になるかもしれない。

斉藤

なるほど。

世界中で見るとエネルギー市場は960兆円。日本全体で確か10兆円ぐらいマーケット規模があることを考えると、20年後に1000億円あって10倍金借りられたら、多分40年で日本全体の需要をまかなえるだけのファイナンスが仕掛けられる可能性があるかもしれない。そのモデルがすごい、って話になれば、そこから分かれた人達が違う国で展開して、エネルギー市場が消えないまでも、少なくとも形は変わるはずですね。

今日は、そのビジョンやそこに行くためのストーリーが聞けて、本当に面白かったです。ありがとうございました。

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三木 浩

三木 浩

投稿者プロフィール

青山学院大学理工学部卒。
NTT系企業・外資大手半導体メーカーにおいてシステムエンジニアとして勤務。
その後、インターネットベンチャーにてネット関連の新規ビジネス立ち上げのコンサルティングに従事。
2001年よりアクセンチュア株式会社において、シニアマネージャーとして戦略コンサルティング、ITコンサルティング、業務改革等多岐に渡るプロジェクト統括を経て、2007年8月に経営戦略の構築から事業運営までを一貫して行う、コンサルティング会社を立ち上げて独立。2008年より自然エネルギー系の事業に参画。
2009年よりサステナジー創業時取締役として参画し、事業戦略や事業モデルの策定等を行っている。

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