• 2016/2/23

【第2回】東日本大震災から5年。プロボノ運営を続けてきたプロジェクト結の発足から今日に至る活動の原動力を振り返る。

2011年3月11日、東日本大震災発生。その直後から被災地の支援活動を始めた長尾さん、中川さんは「まちごと」というプロジェクトを経て、プロジェクト結を始動しました。それから4年強の2015年8月、プロジェクト結の主要活動のひとつであった「日常支援ボランティア」の受け入れを、148期を最後として休止。開始当時から理事として活動に加わっていたスカイライトの和田が、当時の振り返りと休止に至る想いを伺いに長尾(あきら)さん、中川(あや)さんを訪ねました。BizLounge編集部の小川も参加しています。

第2回は、日常支援ボランティア派遣活動の様子から活動休止までのお話
軌道に乗るまでのお金事情
和田
和田

最初の頃って、全然お金かかってないですよね?

場所は全部借りてたし。

中川
中川さん

交通費くらいじゃない?食べ物は食べられたし。

長尾
長尾さん

高速代はタダだったな。

和田

トラックに旗つけてたんですよね、結の。

長尾

そうですよ。緊急物資搬送中ってポスター、旗じゃないね。役所に届けを出して、それを貼っておくと高速がタダっていう話で。

実際には、旗があってもなくても支援関係車両の通行は無料ということで、当時はそのくらい情報が錯綜して混乱があったそうです。
中川

だから、ガソリン代くらい。あとは、われわれの生活費だよね(笑)すべての生活を投げ打ってやるっていう感じの。

長尾

そうですね。仕事を全然してなくって、会社つぶしたんですよ。

中川

つぶしてはいないでしょ?

長尾

つぶしたも同然ですよ。

ここで「つぶしたも同然」と言っているのは、長尾さんが当時経営していた会社の代表取締役を退任したということです。その会社は現在も経営は存続しています。
和田

そのころ、ロシアからも寄付がありましたね。

長尾

ありましたねぇ。「おまえんとこに寄付がしたいからとにかく口座番号教えて」ってメールが来て、慌ててスカイライトのロシア人社員のアリーナに対応してもらったりして。

でも、大きかったよね。

中川

うん、がんばれた。「あぁ、そういうことあるんだ」って感覚だったよね。

いま振り返ると、ちゃんとお礼を言わないといけない人たちっていると思うんだよね。

和田

収益計画としては助成金や寄付金を頼りにはしてましたけど、ボランティア派遣は事業として企画していていて、損益分岐とか考えてましたよね?

長尾

考えてたよ。10人で元が取れる金額。10人以下だったら赤字だった。

中川

もういまや、そういう空想だよね(笑)

長尾

妄想に近い(笑)

小川
小川

どの辺が妄想だったんですか?

和田

ボランティア派遣はちょっと期間が長いから学生にも来て欲しかったんですよね。でも、学生には高すぎて、学生は安くしないと来ないから安くしよう、とか。

中川

やってた。計算をすっかり間違えたね。

和田

結果、事業単体じゃなくて、やはり寄付金や助成金での採算を考えるようになっていきましたもんね。

軌道に乗るまでの人事情
小川

でも、定期的に続いていく。続けられた要因とかってあったんですか?

中川

お金があった。

長尾

ぼくは家族との生活や仕事を犠牲にして通い続け、あやなんか人生を犠牲にしてね(笑)

中川

(笑)

うーん、たしかに見方によっては、人生を犠牲にしたって言われても仕方がない気はするけど。私はそうは思ってないよ(笑)

小川

当初は、お二人とも向こう側(石巻)にいたんですか?

長尾

行ったり来たりですね。

夜10時とか11時にこっちをでて、朝の3時か4時に向こうについて、仮眠して1日動いて、夜8時とか9時に向こうをでるみたいな、車で。

中川

でも、わたし覚えてるよ。お金とか人員のやりくりの会議をしてるときに「人員としては、もうあやかあきらくんしかいないよね、それは申し訳ないが、いない」ってことになってた。それで、誰かは半年くらいは定住してくれないと困るって。

長尾

そんなこと言ってましたっけ?

中川

うん。実際には、ずっと定住していたわけじゃなくて、1週間行って、土日は帰ってきて、また行ってみたいな生活をさせてもらえてたけど。

小川

少なくとも、最初の頃は、お二人がべったり張り付いて軌道に乗せる感じでした?

中川

あと、もうひとり。1回目の報告会のときに手伝いたいって言ってくれたジェイクさんと3人かな。

ジェイクさんとは結の理事で日本臨床心理カウンセリング協会理事の園田さんのこと
小川

それって、どのくらい続いてたんですか?

中川

どれくらいやってたんだろ。いまもわたしは続いている感覚はあるけど(笑)

和田

ボランティアスタッフは、大学生が随分入りましたよね。 ハコが夏で休学して10月から現地に入って、ハコが抜ける3ヶ月前の2月くらいから塚ちゃんが入って。

ハコさんこと谷藤さんは当時学生で、2011年の夏から3月まで大学を休学して現地の専任スタッフになってくれた方(前回も登場しています)。塚ちゃんこと塚原さんは、2012年の2月から2014年の3月まで2年間、現地の専任スタッフとして働いてくれた方。
長尾

そうだ、あいつ、大学院修了して

和田

結に就職させてくださいって来ましたね。

中川

そう、ハコや塚ちゃんが石巻に長く滞在してくれたから、安定してわたしは帰ってこれるようになった気がする。

わたし、人探しは上手なんですよね。

長尾

そうそう、打率高いよ。

和田

ハコたらし込んで、逃さなかったのも、中川さん

中川

塚ちゃんが相談に来たときもね。「行こ、行こ!」って言って。

第2期に参加したエビスさんに、第3期の開催が決まった時に、「明日から行きませんか?」って電話したのもあたしだからね。すごいね。

エビスさんこと河合さんは、第2期のボランティアメンバーとして参加して以来、いつのまにか結の現地スタッフとして参加してくれて今も活動を継続している方。
小川

だんだん人は増えていった?

中川

そうですね。ハコがいると安心っていうのと、エビスさんも長く入ってくれるようになっていったから。それと、地元の人に声をかけていって。

基本的には、わたしたちだけですべてを回していくんじゃなくて、いずれ地元の人たちに任せて、現地化していくっていう志向はあった。回すためには東京の人がいないと回せないって状態はまだいまも変わってはいない。エビスさんがいないと回らないもんね。だけど、ありがたいことに、石巻在住のメンバーが増えてきてますね。

ボランティア派遣の停止の事情
小川

今年、ボランティア派遣を停止したんですよね?

それは、やっぱり現地化って方向性なんですか?

中川

いちばん大きいのは、お金がないからです。

小川

寄付がなくなってきた?

中川

寄付も助成金も取れなくなってきて。

和田

助成金が取れなくなったのが大きいですよね。

長尾

連戦連敗

和田

参加者も減りましたよね?

長尾

減りましたね。

2013年の春休みくらいまではそこそこいたけど。

和田

いましたね。波はありますけど、夏休みはすごいことになって、断ってた。

中川

いまもやれば夏休み、いや長期休みのときは結構人が来るんですよ。最後は8月だったけど、結構来たよね。潜在的に何かしたいって思っている人たちがいるのは分かってるけど、ボランティアに行きたい人のために続けるっていうのも・・・。

これまでは、現状を知ってもらうとか、現地を見て帰ってそれを広めてもらうってことにも価値がある、現地の人にとってもいいこともあるだろうと思って続けてた。

やめたのはお金がきっかけだけど、ボランティアに参加したい、というニーズがそこまで感じられなくなったからやめられたっていうのはあるかな。

和田

塚ちゃんが結の活動を卒業すると宣言したときに、現地化を一気にシフトしましたよね。現地のママスタッフだけでできるか話し合ったりして。できるところは、いまも放課後支援をやってるけど、運営スタッフが見つからなくてできなかったり、そもそも来る子供が減ったりしたところは閉めた。その辺の環境の変化っていうのもあるかもしれない。

中川

そうね。もし彼が石巻での滞在を終えてなかったら、変わらずやってた可能性もあると思うんだよね。人員がいなくなるということで、手放すきっかけをもらっているってこともあるんだと思う。

なんかこう、頃合いってなかなか難しくて。お金がないってこともそう。いまやめちゃっていいのかって気持ちにはなるんだけど、やめたらやめたでどうにかなるだろうし、何が優先順位として大事かって行ったら活動を続けていくことが大事。事業が3つあるなかで、お金がなくなってきたことによって、その優先順位が見えてくることになった。

長尾

うん、見えてきたところがあるだろうね。

中川

やめる覚悟ができる。手放す覚悟ができるっていう感じかな。

震災後の復興支援という活動ゆえに被る環境変化を十分認識したうえでの決断。次回は、さらに踏み込んで、こういった支援活動の難しさや悩みに迫ります。

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中川 綾

中川 綾

投稿者プロフィール

1977年生まれ。中高保健体育教諭を経て、遊びとビジネスの融合を体現する株式会社アソビジ代表取締役・ファシリテーターに。NPO法人エデュケーショナル・フューチャーセンター副代表。文科省・熟議協働員。熟議ファシリテーターとして熟議を複数企画実施。トーキングテーマトランプ「シャベリカ」、チームゲーム「オニミチ」「てがみち」「数道」など、チームづくりに活かせる教材を考案。日本大学文理学部体育学科卒。プロジェクト結 理事。

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