• 2016/3/8

【第1回】自然体のリーダーシップについてもういちど話そう

チームビルディングジャパンはその名の通り、チームビルディングのための研修プログラムを提供しています。先日、代表の河村甚(じん)さんのコラム「チームビルディングの話をしよう」に田頭がゲストとして招かれ「自然体のリーダーシップ」というタイトルで対談をしました。今回は、対談したお二人がそのコラムを振り返りながら、あらためてリーダーシップについて考えてみようという企画です。

第1回 「自然体のリーダーシップ」が意味することの話
「いいんじゃね?」とリーダーシップ
田頭
田頭

対談は「自然体のリーダー」って話から始まってたね。

「自然体のリーダーシップ」からの引用
(じん)今回たがしーと対談やりたいなとまず思ったところは「自然体のリーダー」だなぁ、というところ。
(たがしー)何を見てそう思うの?
(じん)常に頭の上に吹き出しで「ま、いんじゃね?」って浮かんでそうな感じ(笑)
田頭

この「いいんじゃね?」をよく言うっていうのは、FAJで復興支援室をやっていた時にもよく言われたんだよね。

「いいんじゃね?」って何かね?

FAJは、特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会のことで、一昨年まで田頭が会長を務めていました。じんさんも所属されていたことがあります。
河村
河村さん

なんかやっぱり「いいんじゃね?」っていうのはリーダーシップと関連しているんだと思うんだよね。たがしーのリーダーシップのスタイルなんじゃないかと。

田頭

「いいんじゃね?」って言い方って、何かを許可してるよね。この人は許可する側の人なんだと。例えばこれ会長として言ったとすると、許可する権利があって、その許可の仕方として「いいんじゃね?」って言葉が働く感じがしなくもない。

河村

許可というよりは何か小難しく考えなくていいよ、とか。相手が緊張している、構えているみたいなものを解いてくれるみたいな。

田頭

そういうこと?

河村

俺がね、最初に「いいんじゃね?」っていうたがしーのリーダーシップが良いなと思ったのは「ゆるさ」みたいなものなんだよね。つまり、カチッと「ここんとこ、どうなっているんだ!」みたいなのじゃなくて「ここまでのリスクならまぁ許容できるから、いいよ、そんなに堅苦しくやるなよ」っていう感じの緩さ。「いいんじゃね?」って許容してくれていると、居心地が良くて自分らしくいられるっていう良さが、そこにあるんじゃないかなって。

田頭

なるほど。緩さが作る居心地の良さか。

緩さがあった方が、居心地が良いのかな?

河村

あー。そうだね。緩さじゃないのかもしれないね。緩い=居心地が良い、ではないと思うから。

田頭

「その人はこうあらねばならぬ」ではなく、「その人なりに動いて良い」とか「その人のやりたいようにやって良い」っていう雰囲気を「緩さ」であり「許容」と言うのなら、それはそうかもね。その人がその人らしく動くことを許可していく。

河村

組織に入っている人たちが従わなければならないカルチャーとかルールとかがあって、そこに入るには自分らしさを消して、同化しないといけないみたいな脅迫観念があったりする。特に日本人は。そういう風なちょっと構えている人たちに「いいんじゃね?」って言ってくれることによって、「そっか。自分らしくていいんだ」って思える。逆に一人一人が「らしく」いてくれることの方が、組織にとっては良いんだよ、と。

田頭

例えば、じんちゃんがチームビルディングをやった中では、チームのリーダーっぽい人が厳密に「お前はこれをやれ」とか「このチームはこうでなくてはならぬ」という緩さのないチームがある一方で、みんなが自由奔放にやりすぎて全然まとまりがないゆるゆるのチームがあったりするよね。そういうことでいくと「いいんじゃね?」っていうぐらいの緩さは、チームに良い影響を及ぼすものなのかね?

河村

いろんなパターンがあるよね。それこそ、その組織のカルチャーが出てくる。例えば、ガチっとトップダウン型でズバズバズバっと成果を出してくるチームもある。あ、成果を出すっていうのは研修中のアクティビティで成果を出すってことね。

その経験をもとに話し合ったり、例えばリーダー不在にしてやってみたりとかをいろいろやっていく中で、自分たちはどういうのが理想なのかを考えていったりする。自分たちが偏ってるときには、その逆の部分が足りないみたいな意識を持つ傾向にある。

田頭

あ、そうなんだね。

傾向としては、トップダウン型のものもあるし、緩いお互い活かしあうみたいなときもある。それぞれどっちも良い面があるから、自分たちにないものを振り返りのときには求めたくなるんだね。

河村

そう、求めたくなる。

田頭

へぇ~。

河村

とはいいつつ、やっぱり、一人一人が「らしく」あれるチームを、そのチームらしさが何なのかってことに基づいてちゃんと選択して行動できることを促そうとはしている。そのチームらしさが、ガチガチのトップダウンになっているんだとしても、「らしさ」として自分たちが大事にしていくんだったら、それはそれで良い。でも補うべき部分って何なんだろうかを考える。もし逆にそれでは自分たちは実はハッピーじゃない、っていうことが出てきたとしたら、みなさんどうアプローチしましょうかと問いかける。

簡単に組織のカルチャーって変わるものでもないから、まず認識するって所から始めて、どうありたいのかというのを探っていくんだよね。

カルチャーと口癖
田頭

なるほどね。

カルチャーってなかなか変わらないってことで思い出したんだけど、昨日たまたま口癖の話をしてたんだ。その文化の中で、つい言っちゃう言葉。例えば、スカイライトの場合だと「考える」ということが割と大事だから、レビューしたりする時に「他に何かないの?」とか、「本当にそうなのか?」とか。そういう言葉が自然と出てくる。

河村

それは、その組織の中、そのカルチャーの中にいるから出てくる、みんなが共通で使っている口癖?

田頭

そうそう。自然とね。そういうのを言葉にするのって、それが文化とか風土を形作っているものだと自分たちが思っているからのような気がする。例えば、スカイライトだと、「どこどこ出身の人が多いよね」っていうのは言わない。それは多分、スカイライトの風土文化に直結してないから。でも、ある会社さんだと、いろいろな会社が組み合わさってできているので、何かというと「出自が違う」とか「四種族くらいいるから難しい」って話になる。それが口癖になってるんだよね。そうすると、それが風土文化になる。

河村

あーなるほどね!

田頭

良い悪いではなくて、四種族いるってことがフォーカスされていて、そのカルチャーギャップを口癖にすることで風土文化にしてしまっている。口癖が先なのか、風土文化が先なのか、ちょっとよくわからないけど。

河村

両方ありそうだよね。

田頭

口癖を変えていくことで風土文化が変わるっていうのはありそうだし、逆もまたありそうな気がする。昔からその会社の風土文化っていろいろな行動に現れると思ってたんだけど。何を言うか、何を言わないかっていうのが影響するんだと思うんだよね。

河村

するよね。

田頭

口癖を変えていったら、実は変わるんじゃないかな。朝「おはようございます」って言うようになったら雰囲気変わってきたみたいな。チームで何かをやるときでも、何となく発している言葉に影響されてたりするんだろうな、と。

河村

あると思うね。チームビルディングのプログラムの中でも、お互いにニックネームで呼び合っているのを職場にも持ち帰るとコミュニケーションが全然変わってくるとかはある。

自然に沸き起こる動き
河村

あとは、チームビルディングのプログラムでチームで何かに挑むとかってやってるときに、みんなが本気になると円陣組もうぜってなったりすることがある。それを職場に持ち帰って、ほんとに毎朝円陣やってる会社とかあって・・・

田頭

円陣組むところなんてあるんだ。(笑)

河村

ある。個人的には円陣ってどうかなぁと思うんだけど(笑)

っていうのも、確かに習慣づけることで行動から気持ちの変化ができるんだけど、なんて言うのかな、けっこう強力なドーピングぐらいの感じかなと思ってしまう。もっとちゃんと本質的に何か自分の内側から出てくるもので、変化していって欲しいなと思うんだよね。

円陣って、最初は自分の気持ちがそうなってなくても、みんなの中に入って自分も「おう!」とかやっていると、その気になってきたりする。本当に一人一人がどう受け止めているかを置き去りにして、力技で一体感を作ろうとしている感じでやっていたら、ちょっと違和感を感じてしまうんだよね。参加者がやっているのを止めはしないんだけど、円陣になってしまうと、「それだけでいいのか?」とは思う。瞬時に気持ちを揃えるものとしてはとてもいいんだけどね。

田頭

それで思い出したんだけど、サッカーの日本代表がワールドカップのフランス大会に出るときなんだけど、シンガポールの横にあるジョホールバルでのイランとの第3代表決定戦があって、そのときに日本からの弾丸ツアーに行った人から話を聞いたことがあった。

ジョホールバルの歓喜と呼ばれ、1997年11月16日にワールドカップ本戦初出場を決めた試合のこと
田頭

通常、代表の試合ってゴール裏に応援を先導する人がいて、その人が声を発し始めて応援がスタートしたり、その人に合わせてみんなが声を出したりするっていうのが何となくあるらしいんだけど、ジョホールバルの時だけは、ゴール裏の人が応援をスタートするとかじゃなくて、自然発生的にあっちこっちからそういうのがあったらしい。

通常の応援は、円陣とちょっと似てて、誰かがスタートするのに合わせると、なんか自分も高揚してきて、応援する。多分、そんなときは自分から声を出そうとは思わなくて、その人が始めるのを待っている感じ。でも、ジョホールバルのときはそんなことなくて、もう応援したくてしょうがなくなっている。ここで勝てばワールドカップなんだから「もうなんか早く言えよ」「だったら俺が言うぜ」みたいな。そんな感じじゃないかなと思うんだよね。

河村

いいね。その感じだよね。

相変わらず、事例がいつも分かりやすいね(笑)

田頭

ありがとう。ほめてもらえた(笑)

河村

そういう応援や声援があっちこっちから湧いてき始めたときは、おそらくズレているんだよね、声がそろっていない。でも、やっていると揃ってくる。ドラムサークルみたいな感じというか。

ドラムサークルというのは打楽器を使った即興演奏のこと。ファシリテーターが「いまここ」の音楽を演奏するように参加者を促して、参加者間のつながりやコミュニケーションを強化するために行われることがある。
河村

自分の内側から発しているものがあって、他の人が発してるものもある。単に独りよがりでやっていると、周りを聞いていないから、同調って起きない。だけど、独りよがりではないというか、みんなの「ここでジャパンが勝つため」のような「想いはひとつ」みたいなところがあると、自然と揃ってくることがあるんじゃないかな。ドラムも聞かないと揃ってこない。ドラムサークルのファシリテーターは、大きな音の太鼓を止めて小さな音だけにして、聞こえるような場を作ったりするよね。

田頭

そうか。企業の改革でやるような話だと、ビジョンを定めて、それをブレイクダウンしてタスクに落として、それをこなしていくとたどり着くっていうトップダウンの考え方がある。でも、そうじゃなくて、ビジョンだけ合わせておいて、それに向かって各々が勝手なことをやる。でも、横でやっていることをちゃんと見て、それが何かがわかっていると自然とすりあってくる。そんなこともあるかもしれないね。

河村

そんなことはあると思うね。

チームビルディングのプログラムでも、役割を取り合うみたいなことがある。アクティビティなので、何を成し遂げるのかは決まっていて、ルールもシンプルでわかりやすい。そうすると、それぞれが他の人のやっていることを見ているから、その中での役割は、トップダウンで分担しなくても、自分で取っていける。役割分担が大事みたいなことってよく言われたりするけど、自分が取った役割っていうのと、他の人から割り振られた役割っていうのはまったく別物だよね。

田頭

確かに。役割っていうと、どっちかっていうと割り振る感じだよね。でも、役割を決めず、でも結果的には役割がふられていた、というか自ずと取っているっていう話し合いもあるよね。

河村

それがまた、いいバランスでね。

田頭

結果的に良いバランスになるんだけど、本当に結果的なのか、それとも必然的になったのか、っていうのはちょっと興味があるんだよね。

河村

両方あるのかなって気がする。自分が話し合いの場にいるときに、結果的に、足りない役割を取っていることはある。

田頭

話しているときに、それぞれが話し合いに必要な役割ってこんなのがあるって何となく思っていて、それが足りないなって察知すると、自然とその役割を取りにいく。

河村

それはいくよね。

田頭

無理矢理やっているっていうよりは、それがあった方が良いと思うから。例えば、時計を見るみたいなのも、時間を気にしないとまずいんじゃないって思った人がやるっていう。

河村

でも、やっぱりその中でも得意不得意とかっていうのはあるかな。例えば時計を見るとかって、自分の場合はすごく苦手(笑)

田頭

役割としてはね。(笑)

コラムを見ながら「自然体のリーダーシップ」について深めてきた二人。次回は、チームビルディングの本質に斬り込みます。

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河村 甚

河村 甚

投稿者プロフィール

株式会社チームビルディングジャパン代表取締役
本気の体験と本音の対話で組織を育てるファシリテーター。1998年、アメリカに本部を置く国際リーダーシッププログラムUp with Peopleに参加。同プログラムにてミーティングファシリテーションや、異文化コミュニケーション、チームビルディングプログラムの経験を重ねる。プログラム修了後、同プログラムスタッフとして日本/北米にて勤務。
帰国後、イベント制作会社にて主に海外インセンティブイベントを制作。
2006年チームビルディングジャパンを設立。様々な企業のチームビルディングを専門会社として支援。日本でのチームビルディングの普及と発展に力を注ぐ。

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