• 2016/3/15

【第2回】自然体のリーダーシップについてもういちど話そう

チームビルディングジャパンはその名の通り、チームビルディングのための研修プログラムを提供しています。先日、代表の河村甚(じん)さんのコラム「チームビルディングの話をしよう」に田頭がゲストとして招かれ「自然体のリーダーシップ」というタイトルで対談をしました。今回は、対談したお二人がそのコラムを振り返りながら、あらためてリーダーシップについて考えてみようという企画です。

第2回 チームビルディングの本質の話
「おもしろーい」フィルター
田頭
田頭

じんちゃんは、「おもしろーい」って言うイメージなんだよね。「おもしろーい」って言わないことないんじゃないの?

河村
河村さん

「おもしろーい」はやっぱり言っちゃうんだよね。口癖なんだろうね。

田頭

魔法の言葉。

「おもしろーい」って言われると、「いいんじゃね?」と似てて、「あ、これ面白いんだ!」って思える。

河村

あーなるほどね。

田頭

いまさ、スカイプの英会話をやっているんだけど、質問されて考えるときに、英語圏では何か言葉を発したほうがよいって言われるんだよね。「Let me see …」とか「Let me think …」とか。そのバリエーションで「That's a good question.」があって。それを使ってみると、先生が「その言い方は良い気分になるからいいね」っていうんだよね。良い質問したんだって思うって。

確かにさ「That's a good question.」って言われると、それが本当に good かどうかは置いておいたとしても、まぁちょっとこう、質問した甲斐があったって思える。周りからすると明らかに良くないって見えたとしても、本人は気持良くなる。

河村

確かにね。

田頭

「おもしろーい」も何か同じ感じで「あ、面白いこと言ったんだ」って。そういう意味では、面白いって言われて僕は嬉しくなるんだけど。

河村

「おもしろーい」が、さっきのgood questionと同じなのは、その場にいる他の人たちに対してあるフィルターをかける感じだと思うんだよね。「おもしろーい」フィルターとか、「良い質問」フィルターをかける。つまり、つまんない質問に対しても良い質問ですねって言ったときに、みんながその質問の良さを考えるとか、「おもしろーい」って言ったときに、面白い切り口で見ると、どういうところを面白いって言っているのかなって考える。例えば「おもしろーい」フィルターがかかると、つまんない要素が全部そこで遮断されて、おもしろい要素だけがフィルターを抜けてくるような感じにその場にいる人たちが捉えたりね。

くだらない質問にも「良い質問」って言うと、「どこが良いんだろう」「あ、こういう観点で良いって言っているのか」「こういう観点で良いのかな?次なんて言うんだろう」とかさ、そこに対してぐっと意識が向いて、場にフィルターをかける感じ。

田頭

質問だけ聞いて「なんだ、そんな質問しちゃって」って思ったとしても、その後に「あ、良い質問ですね」って言われると「あれ?俺が何か変な質問だと思ったのは間違っていたのでは?」って。

河村

「俺、分かってなかったかな」って。(笑)

田頭

確かに気になる。

あーなるほど。「おもしろーい」も同じか。「あ、あれ面白いんだ」「自分とは何が違って面白いと思えるんだろう」って。

河村

ま、ある意味、誘導でもあるよね。

田頭

それは確かに、誘導なのか。でも、雰囲気が良い方が良いと仮定したとすると、雰囲気を良くするためのひとつの方法ではある。「なんだ、あんな質問しやがって」っていう風になって雰囲気が悪くなることを防ぐっていう意味では、良いのかもね。

河村

そうだよね。受け容れあうカルチャーみたいな感じにもつながるよね。

田頭

悪くなるときって、微妙な積み重ねがあるよね。例えば、メールのやり取りとかで、まだ会っていない人から、ざっくばらんな感じの返答があったりすると、ちょっとこの人嫌だなって思う。会ってみるとそんなことないのかもしれないけど、会う機会を逸して、また何か別のときに、その人が言ってきたことに対してちょっとイラっとするようなことがあったりとすると、嫌な感じが増幅されて、「あ、やっぱり」みたいなさ。そうやってだんだん関係が悪くなる。

河村

あるね。なるなる。

田頭

早い時点で修復されていれば、なんてことなかったんだけど、積み重なっていくと。

河村

ちょっとしたズレがね、どんどん増幅されてね。

田頭

で、かなり経ってから会いに行っても、最初から嫌な人だと思って会いに行こうとするから、もう修復するのが大変。

河村

そうだよねぇ。

田頭

話し合いの雰囲気も、ほんとちょっとした積み重ねなんだけど、どのタイミングでうまく修復できるかっていうのも大切かもな、って。「おもしろーい」とか「いいんじゃね」とか「good question」とか、何かそういう言葉がポロポロって出る度に、このちょっとした差がキュッと修正される。そんなのも、もしかしたらあるかもしれない。

河村

あるね。そういうのが、場とか関係性の文化とか空気とかを作るんだよね。そういうのあるね、すごくね。

田頭

例えば、雰囲気の悪い職場にじんちゃんが置物のようにいるだけで、職場の雰囲気が良くなるんじゃないかっていう。

ひとりいるだけで悪くもなるし、ひとりいるだけで良くもなるし。

河村

それを聞いて「おもしろーい」って口から出そうになっていたのを今飲みこんだ(笑)

田頭

飲みこまなくていいのに(笑)

でも、そういうのがある気がするんだよな、ちょっとしたことだけど。

「らしさ」を軸に考える
田頭

そういえば、じんちゃんに聞いてみたかったんだけど、チームビルディングの本質って何?

河村

あ、良い質問ですねぇ。(笑)

田頭

あ、ちょっと気持ちよかったいま。(笑)

ずっとチームビルディングをやってきてるじゃない?

河村

ずっとチームビルディングですねぇ。

田頭

チームビルディングが好きだからやっているんだよね?

河村

好きだからやっている。

田頭

本質って?

河村

いろんな切り口の言い方があると思うけど、「一人一人が自分らしさを活かしながら、かつ、組織やチームとしての自分達らしさを共有して、お互いにリスペクトしあいながら、ちゃんと自分らしいまたは自分達らしい選択をしていけるような組織・チームを作っていく」みたいなところかなぁと思ってやっている。

田頭

「らしさ」と「リスペクト」。個々人だと「らしさ」で、関係性で「リスペクト」。その上で自分たちの「選択をする」。

河村

自分らしさと自分達らしさの両方が大事。自分達らしさのために自分らしさを消すとかではなくて、自分らしさのために自分達らしさが消えてもダメ。やっぱりその一人一人の自分らしさが活かされるような自分達らしさをちゃんと発揮できる組織で、そのためには、お互いのリスペクトが必要。つまり、俺が自分らしくいられればお前はどうでもいいみたいなジャイアン的アプローチではダメ。やっぱりお前もお前らしく、俺も俺らしく、みんなで自分達らしくいられるところ。他のメンバーが自分らしくいられることに対しての配慮とか、思いやりとかも、すごく大事かな。カルチャーとして。

田頭

じんちゃんは、いつからチームビルディングに興味を持ったの?

河村

いちばん最初にチームビルディングに出会ったのは1998年。アメリカのグローバルリーダーシッププログラムに参加したときで、ファシリテーションもそこで始めて知った。そこで体験してみて最初に感じたのは、ファシリテーションもチームビルディングも両方なんだけど、自分自身の主体性に基づく学びの方法があるんだってことに対する、嬉しさというか、驚きというか、インパクトを感じた。学校とか強制的に教えられることがすごく嫌いな子供だったから。

田頭

あ、じんちゃんがねぇ(笑)

河村

大学とかも行っていないから高校までの経験だけど、教える側の人の持っているあたりまえを同じようにインストールされることに対する抵抗感がすごくあった。

そのリーダーシッププログラムの中では、一人一人がどう感じるかということ、自分の経験したことや体験に基づいて考えたり話し合ったりして、そこから答えを見つけていくことで、ものすごく自分が学んだ感が得られた。こんなやり方があるのかってすごく感動したのが最初の出会いなんだよね。

田頭

自分から、自分で学んでいく、自分で気づく、教えられるじゃなくて。その心地よさっていうか、それを用意してくれるツールであり、場であり、強みであるファシリテーション。そういう文脈?

河村

そうそうそう。最初の出会いとしてはね。

最初の出会いはそうだったんだけども、チームビルディングジャパンとして日本でやってくると、アメリカのプログラムを同じように日本でやってもうまくいかないって経験を結構した。そこが、また自分としては、すごく学びと成長のキッカケになった。

何かというと、例えばチームビルディングのアクティビティをやったときに、海外でやっていた時は何をやってもみんなとりあえず盛り上がったもん勝ちみたいな。

田頭

あぁ、欧米は?

河村

そう。だから、何かやればとりあえず盛り上がる。彼ら一人一人が主体性が強いっていうのもあるのかもしれないけど、自分で自分を盛り上げたもん勝ちみたいな感じなので。こちらでいろいろ工夫しなくても、本気で取り組んでみんながやる、と。なんでこれをやらさせてんの?みたいな感じはあまりなかった。

田頭

「やるよね!」みたいなね。

河村

そう。「やるなら楽しんだもん勝ちでしょ!」みたいな感じ。

あとリフレクション(振り返り)も全然違ったのは、いまでも多国籍の参加者を相手にやるとそうだったりするけど、カッコいいことを言ったもん勝ちみたいなのがあって。「このチームビルディングでこういうところから学びを得たよね」みたいなことを先に言ったもん勝ちみたいな。

田頭

なるほど。

河村

いますごくザックリ言ってる。みんながこういう人達じゃなくて、語弊がある言い方なんだけど、そういうのが全体的な傾向としてはやっぱりあって。それに対して、日本の企業相手に、しかも会社から依頼されてやっているから、自ら参加したい人達だけじゃないという前提でやっていると、全然そうじゃなかった。

それで、もっともっと本質ってなんだろうっていうところに入っていけるようになった。例えば、アクティビティをやっていても、どうしたらもっとみんなが夢中になれるんだろうかとか。身体を動かす系だと、身体を動かすのが苦手な人達が夢中になりにくい場合に、どういう風にアプローチをしていくかとか。ゴール設定の方法だとか、計測の仕組みだとか、チクセントミハイのフローっぽいものとかを応用したりしながら、どうしたら夢中になれるか、とかね。

フローは、心理学者のチクセントミハイによって提唱されたあることに没頭しているときの精神状態を指す概念。
河村

対話も随分質が変わってきた。日本人相手にやっていると。いちばん顕著に感じた違いは、日本人はまぁ話さないというか。「何でお題出されて話始めないんだろう?」って思った。みんな待っている。

田頭

待ってるよね。

河村

そんなときは、グループサイズを変えたり、いろいろな話し合いのやり方を組み合わせたりっていうことをしないと話を始めにくい。例えば、100人集まっている中で「じゃあコメント」って手を挙げても出てこないけど、3人組でやってから、その中で出たことを言ってくださいって言うと出るとかね。でも、日本人の集まりで面白いのは、そんな風に話し合い方を工夫したりしていくと、ちゃんと話に深く入っていくこともできる。

その深く入っていくやり方だとか、いかに夢中になれる状態を作るかっていうのは、日本でやってきて、すごく進化してきたところだろうと思う。それに、チームビルディングの本質ってなんだろうかを探りながらやってきていて、さっき言ったみたいな「らしさ」を軸に考えるっていうのは、最初に出会ったころの自分が体験した時にはなかった。日本でどうしたら良いかをやってきた中で、そういう理解に育ってきたって感じですかね。

「レディ(Ready)」になることの重要性
田頭

なるほど。

インプロをテーマにしたワークショップをやってる人から聞いた話なんだけど、インプロそのものは4時間の中で最後の30分だけなんだって。それまではインプロができるようになるための準備のアクティビティなんだと。

インプロとは、インプロビゼーションの略で即興劇のこと。
河村

なにそれ、なにそれ?

田頭

要は、恥ずかしくて、いきなりみんなが踊り出したり演劇したりできないから、例えば、この人たちとだったらさらけ出しても良いっていうようなインプロレディの状態になるのに3時間半ぐらいかけるって言っていた。何かをやる前に、レディの状態になるっていうのは、なかなか難しくて工夫凝らさないとなかなかスタートできない。いまの文脈で行くと、アメリカ人は、もしかすると、いつもレディになっていて、

河村

いつもレディ?

田頭

そう、いつもレディだから、バッと入れる。日本人はレディになっていなくて、慎重に入っていくみたいなね。初めて会ったときとかは、なかなか深く突っ込んで行けないけど、いろいろ話をしていく中で、だんだんだんだん深く話せるようになっていって、そもそもな話ができたり、失敗談とかが言えたりするようになる。レディにできるっていうのは、話し合いでもアクティビティでも大切なんだろうな。

河村

大切だよね。アイスブレイクするとかしないとか、もね。

田頭

そうそうそう。レディにいつもなっていれば、ポッと何かお題を与えるとどんどん動く。でもレディになっていないと全然動き出さない。

河村

そうだよね。

田頭

チームビルディングするのもチームとして何か発揮するまでの事前の準備があるんじゃない?ビルディングって言うぐらいだからね。そういうことしないと、チームレディの状態にならない。

河村

そうだね。チームレディの状態を作るね。

田頭

そのためには「らしさ」とか「リスペクト」とかってことを身に着けないと、チームにならない。

河村

何か行動して結果を出さないといけないということがチームや組織にあるとしたときに、どういう選択をしたら良いのかがわからなかったりすると、リーダーが右って言うから右、あるいは、リーダーに逆らいたいから左みたいになる。

だけど、自分達らしさって軸を持っていると、その中で自分らしさがこうだから、あるいはそれに対してこういう視点を自分は持っているから、こういう選択をするっていうことができるようになる。それはミッションとかビジョンとかっていうのと同じように選択をするためのもの。そういった理解の共有ができていると安心して選択ができる。この「安心して」というのがすごく大事で、安心して選択ができるとお伺いを立てなくても良いんだよね。

例えば、ちゃんと裏をとるってことが大事なカルチャーだとわかっていると、「裏とったのか?」って言われるのがわかっているから事前にやる。「君が大事だと思うことならそれは大事なんだと思う」っていう風に理解を示してくれるカルチャーなら、きっと「いいんじゃね?」って言ってくれる。そういう安心感があると、一人一人が自分の考えで行動ができたり、選択ができたり、必要に応じて共有を図ったりっていう判断ができる。そうじゃないと組織が動かない。

田頭

なるほど。みんなが安心して選択できるようにするっていうのが、それがチームビルディングをする目的でもある。一回のアクティビティでそうなるかどうかは別としても、自分たちで選択して動いていくって感じか。選択して動く、選択して動く、なるほど。

河村

うん。うちのお客さんって基本会社がほとんどなので、会社だとやっぱり結果を出す必要がある。結果を出すためには行動しなきゃいけない、行動するためには選択しなきゃなんない、っていうのがあって。そこができるかできないか。それを一人一人が考えてできるか、っていうところが大事。

田頭

行動するための選択。

河村

そうそうそう。

チームビルディングについて深めたところで、次回は再びリーダーシップの話になっていきます。

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河村 甚

河村 甚

投稿者プロフィール

株式会社チームビルディングジャパン代表取締役
本気の体験と本音の対話で組織を育てるファシリテーター。1998年、アメリカに本部を置く国際リーダーシッププログラムUp with Peopleに参加。同プログラムにてミーティングファシリテーションや、異文化コミュニケーション、チームビルディングプログラムの経験を重ねる。プログラム修了後、同プログラムスタッフとして日本/北米にて勤務。
帰国後、イベント制作会社にて主に海外インセンティブイベントを制作。
2006年チームビルディングジャパンを設立。様々な企業のチームビルディングを専門会社として支援。日本でのチームビルディングの普及と発展に力を注ぐ。

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